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ドイツ,スコットランド報告
ケルン大学とエジンバラ大学を中心に

京都大学大学院

アジア・アフリカ地域研究研究科・准教授

高田 明

 

平成28年2月13日から2月28日にかけて,おもにドイツのケルン大学,およびスコットランドのエジンバラ大学を訪問し,本プロジェクトの企画・運営に関する研究打ち合わせおよび資料収集を行った.

ケルン大学では,まずケルン大学グローバルサウス研究センターで,Thomas Widlok教授,Clemens Greiner上級講師,Michaela Pelican准教授らとグローバル化にともなうアフリカ地域研究パラダイム再編に関する研究打ち合わせを行った.ケルン大学(写真1)はヨーロッパで最も古い歴史を持つ大学の一つで,ドイツにおけるエクセレンス・イニシアティブに指定されている.このうちケルン・グローバルサウス研究センター(写真2)は,これまで同大学で顕著な業績をあげてきた社会・文化人類学,アフリカ研究,歴史学,言語学,メディア科学などの分野が結集して2014年に設立され,グローバル状況下でのアフリカやアジアについて学際的な地域研究を推進していく卓越した研究機関として,多方面にわたる活動を推進していくことが期待されている.今回の研究打ち合わせでは,京都大学からケルン・グローバルサウス研究センターに派遣する予定の若手研究者の受け入れ条件や期待される活動内容,およびケルン・グローバルサウス研究センターから京都大学へ研究者を招聘する際の受け入れ条件や期待される活動内容について具体的な提案や調整を行った.ケルン・グローバルサウス研究センターを構成するメンバーはアフリカを対象とする地域研究や人類学に関する各種のセミナーやシンポジウムを組織しており,京都大学から派遣された若手研究者や担当研究者がこれらに参加することで非常に有意義な学問的交流が期待できる確信を得た.ケルン大学ではさらに,同大学の研究者が収拾・保存してきた過去5000年にわたるアフリカの言語,社会,文化に関する数多くの貴重な資料を閲覧した.

 

図1

写真1 ケルン大学のメイン・キャンパス

 

図2

写真2 まだ真新しい,ケルン大学グローバルサウス研究センターの看板.

 

エジンバラ大学では,まず同大学のアフリカ研究センターを訪問し,同センターの所長を務めるBarbara Bompani教授らとグローバル化にともなうアフリカ地域研究パラダイム再編に関する研究打ち合せを行い,これから本プロジェクトを円滑に進めていくための具体的な提案や調整を行った.エジンバラ大学はスコットランド最高峰の研究機関である.このうちアフリカ研究センターは1962年に設立され,ヨーロッパで最も伝統のあるアフリカ研究の拠点の1つとして,数多くの優れた研究者や実務家を輩出してきた.タンザニアの初代大統領であるジュリウス・カンバラゲ・ニエレレもまた,若き日にエジンバラ大学で学んだ(写真3).アフリカ研究センターでは現在も,教員と院生をあわせると100人以上のアフリカ研究者が日々熱い議論を繰り返している.エジンバラ大学ではまた,英国有数の大量かつ貴重な文献や資料を保存する総合図書館などを見学した(写真4).

 

図3

写真3 アフリカセンターや社会人類学科が入っているChrystal Macmillan Buildingに掲げられていたジュリウス・
カンバラゲ・ニエレレを讃えるプレート

 

図4

写真4 エジンバラ大学の総合図書館

 

さらに,アフリカ研究センターが毎週行っているセミナー(同センターのOBであるDr. Jon Schubertによる’Interrogating the ‘New African Middle Class: urbanity and aspiration in post-war Luanda’という発表があった),社会人類学科が毎週行っているセミナー(ロンドン大学から訪問していたProf. Martin Holbraadによる’Three Ontological Turnings’という発表があった),アジア学および政治学・国際関係学科が主催したセミナー(’Japanese perspectives on Asian diplomacy’というタイトルで日本の国際日本文化研究センターから訪問していた楠 綾子博士らによる発表があった)に出席した.発表および質疑の質は総じて高く,たいへん活発な議論が行われていた.また,セミナーの前後にはたいてい会場近くでのコーヒー・アワー(軽食が供され,セミナーの関係者と雑談することができる)や近くのパブでの懇親会が設けられており,エジンバラの文化的な雰囲気を楽しみながら知的な交流を促進するような仕組みになっていた.これらにより,同大学で活発に行われている研究活動を身を持って感じることができた.京都大学から派遣された若手研究者や担当研究者がこういったセミナーに参加し,機会があれば自らの発表を行うことで,非常に有意義な経験をすることができることを確信した.