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イギリス報告

京都大学

アフリカ地域研究資料センター

梶 茂樹

 

10月31日から11月8日の予定で、イギリスのエジンバラとロンドンを訪問した。エジンバラがメインである。短期間であったが、有意義な訪問となった。

普通はイギリスに行くとなると、先にロンドンに行くことが多いのではないかと思うが、今回は日数も少なく、火曜日発だったので、もしロンドンに先に行くとエジンバラ滞在が土日にかかってしまうため、エジンバラを先にした。エジンバラにも空港はあるが、関空からは、エミレーツ航空のドバイ経由でグラスゴーに飛ぶことになる。長旅だったので、着いた11月1日はグラスゴーで1泊し、翌2日にエジンバラに向かった。

2日の朝、グラスゴー大学を訪問した。とは言え、その日の午後にエジンバラ大学でBarbara Bompaniさんと会う約束をしていたので、朝早く行かざるをえずキャンパスを訪問するだけであった。グラスゴー大学はイギリスの大学では、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学と並ぶ長い歴史を有する大学で、有名な卒業生も多い。卒業生で経済学のアダム・スミスの銅像が街中に立っている。大学の建物も荘厳なものが多く、壮大なメインビルディングには圧倒されそうであった。

グラスゴーからエジンバラまでは汽車で約50分である。1時頃エジンバラのホテルに着いたが、部屋がまだ用意されていないということで2時まで待つことになった。そのせいで、3時に大学で会う約束をしていたBarbara Bompaniさんとの会合にギリギリであった。エジンバラ大学のアフリカセンターでは、センター長のBompaniさん以外に、南部アフリカの人類学をやっているAlan Bernardさん(エジンバラ大学名誉教授)と、今度この頭脳循環のプログラムでアフリカセンターに来るHazel Grayさんの3人が出迎えてくださった。Bompaniさんはやはり頭脳循環のプログラムで今年の1月にアフリカセンターに来たことがある。日本にはいい思い出があると言っていた。

エジンバラは北のアテネと呼ばれるように昔から学問の栄えた土地でる。街がまるで中世そのままのような南側の旧市街(山手側)と北側の新市街(と言っても18世紀的であるが)に2分される。エジンバラ大学は旧市街にある。

エジンバラ大学のアフリカ研究は、Bompaniさんらが担当しているが、地域研究と開発関連を研究の主たるテーマとしているようである。しかし文化人類学一般はもちろんのこと、言語や文学にも興味を持っているということであった。学部教育は一部携わっているが、大学院教育が主体で、これはASAFASとも似ている。話は日本との学術交流のみならず、Bompaniさんらと親交があり、関連した研究を行っている高田氏や田中二郎氏のことなどにも及び、なかなか話題がつきなかった。

イギリスの大学は外国人の留学生が多く、キャンパスを歩いていても、中国人らしき学生を多く見かけた。Bompaniさんらとの話の中で、エジンバラ大学はオンライン教育を行っているということに興味が引かれた。一種の通信教育だと思われるが、世界中の学生が対象で、アフリカにいるアフリカ人なども受講生いるが、主体は、大学を卒業後NGOなどで働いている社会人であるということであった。オンライン教育でも授業には決して手は抜かず、普通の授業と同じように厳しくやるということであった。

時間はあっと言う間に過ぎ、夕方となったので暇を請いだが、Grayさんは12月にアフリカセンターに来るということなので、再開を期しての別れであった。

翌3日はエジンバラ大学でスワヒリ語を教えているTeresa Poetaさんと会った。Bompaniさんの紹介である。PoetaさんもGrayさん同様、SOASで博論を書き、Poetaさんは去年の秋からエジンバラ大学に勤めているということであった。Poetaさんの正式な所属はアフリカセンターではないが、アフリカセンターとタイアップしてやっているということであった。私もスワヒリ語に関しては、かつてコンゴで調査していたので、これからこの件でも連絡を取っていこうということになった。

4日はTeresa Poetaさんとともに、言語学、特に音声学やフィールド言語学を担当しているBert Remijsen氏と会った。会うのは初めてであったが、Remijsen氏はベルギーのフラマン圏の出身で、共通の友達も多く、話はつきなかった。

5日に汽車でロンドンに向かった。汽車はエジンバラを出てから暫くの間、海岸沿いを走り、目を楽しませてくれる。エジンバラからロンドン(Kings Cross)まで5時間とちょっとであった。

ロンドンではロンドン大学のSchool of Oriental and African Studies (SOAS)に行った。SOASでは、東京外国語大学の岡野賢二氏(ビルマ語)と、同じく東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の品川大輔氏(アフリカ言語学)に会った。岡野氏も品川氏も、東京外国語大学で実施中の頭脳循環プログラム「危機言語・少数言語を中心とする循環型調査研究のための機動的国際ネットワーク構築」での滞在であった。残念ながら、アフリカ言語学のLutz MartenさんとSheena Shahさんは、ともにドイツに出掛けていて、会えなかった。

今回のイギリス訪問はグラスゴー1泊、エジンバラ3泊、そしてロンドン2泊という駆け足の旅であったが、それぞれの大学の活動が見れて有意義であった。日本、とりわけアフリカセンターを含む京都大学は研究のためのフィールドワークを重視しているが、世界は必ずしもそうではなく、それぞれの大学の特徴を生かした研究の連携が活発化する予感を得た。

 


写真1: グラスゴー大学は新旧の建物が並ぶ歴史ある大学だ。

 


写真2: エジンバラ大学アフリカセンターで。
右からHazel Grayさん、Barbara Bompaniさん、Allen Bernardさんと。

 


写真3: エジンバラ大学を背景にTeresa Poetaさんと。

 


写真4: ロンドン大学School of Oriental and African Studies (SOAS)で、東京外国語大学の岡野賢二氏および品川大輔氏と供に。私を含め、3人ともそれぞれの頭脳循環プログラムでの派遣であった。